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1995年2月26日 (日)

MACWORLD Expo Tokyoでの講演

MACWORLD Expo Tokyoにて
「サラリーマンとマルチメディア」と題して講演。

Macworld


●サラリーマンとマルチメディア
 情報社会の高度な発達とマルチメディアの大衆化によって、アマチュア/プロフェショナルの分類はもはや有効でなくなってきている。コンテンツさえあれば、資本や地位、権威がなくても、ほんの少しの努力で世になにがしかを表現してしまえる環境が整いつつある。仕事や知人達とのつきあいがきっかけとなった電子出版を通して、表現行為の場が身近になった時代に求められているもの、また安価に、すばやく、特化した情報を誰しもが扱えるようになった世界について考察する。


伝えたいポイント
1・才能ある奴は世間に溢れている。
2・情報社会の高度な発達とマルチメディアの大衆化によって、
  アマ/プロの分類は今後有効ではない。ビギナー/スペシャリスト
  (あるプロジェクトにおける滞在年数ではなく、スキルの上下
  やアイデアの豊富さ)が問われるようになる。
3・マルチメディアの大衆化により表現行為の場が身近になった。
  今までより飛躍的に遠くに、すぐに、そして低コストで
  伝達が可能になった。
4・ソフト製作を通じて多くの素敵な人と知り合えるのも非常に
  刺激的である。そこで、やはり重要なのはコンテンツ。
5・やれることは、いくらでもあると考えているので、
  まだまだ色々なものを出版していきたいと思う。

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●導入
「サラリーマンとマルチメディア」実は誤解をまねくタイトルづけなのですが、ビジネスマンがプレゼンで利用するマルチメディアツールとかインターネットがどうとかという話ではないので、気を楽にして聴いてください。
本日のお話はどのように、サラリーマンが俗に言う「マルチメディア作品」を作ったかというお話です。

小説家や映画監督や学者の道にチャレンジしてみようというより、
平凡なサラリーマンの道を選ぶことが多いのが、
この日本社会の特徴だと思います。

その背景には、コンテンツにお金を払わない、
才能にお金を払わない社会に、
またお金だけでなく表現者のステータスが低く、
極端にその生活が不安定になる社会に
その原因があると思っています。

いろいろな芸術活動に対する国や企業の援助の少なさ、
著作権や違法コピーへの認識、
また、芝居をやっている小劇場の役者や映画関係者、
アニメーターが世間から、どのように見られているか
想像されればおわかりかと思います。

意外に、才能ある人がその才能とは無関係の職種に
就いていることが多いのが、日本の現状なのかもしれません。

その為、才能ある人が巷にあふれています。
今日私の前に講演をなさった矢部さんもそうですし、
この会場にいらしている多くの方々も同じだと思います。

サラリーマンをしながらお芝居をやったのも、
今回の電子出版にトライしてみたのも趣味とはいえ、
身近に才能がある人物が多くいたという事実の
延長上にありました。

●これからの社会
「マルチメディア時代の到来で、”アマチュアとプロの垣根”は
幻想だった」という点が明確になる?!
そして、「大切なのは、コンテンツ(中身)である」


アマチュアの定義とはいったいなんでしょう?
逆に、プロフェショナルとはいったいなんでしょう?
企業内にはろくに仕事もしないのに、
過去の名声で食べている人がたくさんいます。
はたして、この人達はプロなのでしょうか?

これからのネット(高度情報)の社会では、
人と人との関係は限りなく対等になっていくとともに、
実力あるものが評価される社会になっていくことと思います。
資金力や大企業の肩書きはだんだん通用しなくなり、
実力ある人にとってのメリットと言えばその企業を用いて
どこまで個々人がスキルアップできるかという点に
限られてしまうのではないでしょうか。

「バーチャルコーポレーション」という少し前にはやった本がありましたが、そこでは、いずれ中間管理職はなくなることが、予言されています。私は、将来の会社において、有能なコーディネーターたる者だけが中間管理職に替わって生き残ると思っています。その他大部分においては、スペシャリストこそが求められ、そのスキルのレベルが問われるのではないでしょうか。

いささか、脱線しましたが、サラリーマンの世界でも権威や特権ではなく、特技をたくさん持った人が重宝される時代が来るのではないかと考えます。

そういう意味で、今回の「ケミストでありながら画家、経理マンでありながら作家、人事マンでありながらプログラマー、マーケッターでありながらデザイナー、営業マンでありながら音響技師」という二足の草鞋集団ではありますが、けっしてアマチュアとは言えない自負がありますし、今後はこのような人が活躍していくのではとの予感がします。

また、このあとご紹介させていただく電子出版の作品「artificial」にいたっては、このようなデジタル作品を自分達で作れる劇団がこれから、ぞくぞくと増えるでしょう。
なにしろコンテンツは彼ら演劇関係者には豊富にありますから。

資本や地位、権威がなくても、ほんの少しの努力で世になにがしかを表現してしまえる環境が整いつつあります。
これからご紹介する2本のソフトはいろいろな意味でこのような背景から登場したソフトです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
実例
●電子出版ソフト「artificial」デモ
2年前に同名の芝居を相鉄本多劇場にて、
サラリーマンとOLによって構成された劇団が上演しました。
その際Macintoshを多用し、役者の一部、作曲、
映像の制御等をMacintoshにやらせ、
「MacJapan」にも取り上げられました。
「MacJapan記事」を表示

この芝居を新たに再現、再構築し電子戯曲化したものが
本作品になります。

当初からこの芝居を素にマルチメディア作品にしたてあげる計画だったので、芝居もこれを前提に製作し、素材(ビデオ画像、MIDIによる音楽データ)も準備していました。

最初はオーサリングソフトにDirectorを使おうかと考えていたところ、使いなれたHyperCardベースのよいツール
(ボイジャー社 エキスパンドブック開発ツール)ができたのでこちらを使用しました。

●電子出版ソフト「会社を知るための経理講座」デモ
エキスパンドブック初のビジネス書というのもおもしろいと思い。
また、経理という固いイメージのものをアニメや図表を多用して
説明すれば意外といいものができるのではないか、
インタラクティブな教材を使えば理解も深まるのではないか、
と考え出版しました。

こちらは、予想以上に売れて驚きの連続でした。
昨年のマックエキスポ時に100部完売した後
注文が殺到し現在1000部超、販売しました。

インターネットを通じての注文やパッケージが目を引く為か
中ザワヒデキ氏に雑誌でとりあげてもらったり、
テレビニュースの取材がきたり
新聞、雑誌と反響は大きかったです。

「日経産業新聞記事」を表示

「ダ・カーポ記事」を表示

「日経クリック記事」を表示


実は、昨年エキスポに2タイトル出品したのですが、
パッケージも家内制手工業の世界で製作が間に合わず
一作品は初日の朝10時に納品、
もう一つは最終日夕方5時に納品できた次第で、
ボイジャー社の社長さんに呆れられたりしていたのが昨年のことです。
共同作業がなかなか楽しく、エキスポ前日は間に合わなくて
幕張のホテルに宿泊をしたのも今ではいい思い出であります。

950226

そんな状況だったので、翌年にこのようなカンファレンスで話をするなんて事は想像もしていませんでした。


●作成の実際
手間/労力(紙媒体との差)
・紙の出版よりははるかに手間いらずだとも思います。
 各パーツの製作は分業が可能で、データを電子化すればデータの
 やりとりが非常に簡単。
 通信によっていつでもどこでもやりとりができる。
 また、中間に介在する人が少ないので、
 (例えば、印刷ー製本ー....)
 製作者間の情報レスポンスが何事につけ速い。

・製作という観点からすると、ソフト製作は手直しが比較的簡単に
 できるので、楽なこともあるが、大変なことも多い。
 例えば、注意しないとマニアックな細かい作業に入り込んで
 深みにはまってしまいがち。

・最終的な製本作業は一台のMacintoshでしかできないのが、
 大作となると結構手間が最終段階でかかる。

・コンピュータをいじり始めてまだ1年の人も含め、
 努力すれば誰でもすぐにできる。

●費用
・フロッピーは100円程度、パッケージが150円程度。

・ただし、エキスパンドブック開発ツール(35、000円)以外に、
 ハイパーカードの関連書籍、ビデオボードや
 スキャナーの周辺機器、ハイパーカードの完全版、
 動画の編集、フォトレタッチ、音の加工等
 ソフトウェアが結構かかっている。

・また、通信費用(BBS開局やインターネットの接続料)も
 無視できない。その上、当然パッケージ製作の作業に
 膨大な時間がかかる。

●機材
・録音等に(オープンデッキ、DAT、8mmビデオ、Macintosh内蔵マイク)

・Macintoshは速いのが一台あると非常に便利。
  ハイパーカード自体が重く、速度的に遅い。
  画像の処理関係は、PCの速度そのものが効率化にかかわる。

・PC台数はテキスト入力とフロッピーコピー用にスペックは
 ともかく台数があると便利

●エキスパンドブックデモ
ここで、実際に作る過程を簡単に説明したいと思います。
 ・エキスパンドブックにテキストを流し込みます。
 ・声優-神谷氏の声の出演(SoundEdit)
 ・QuickCamによる声優-神谷氏の撮影及び取り込み。
 ・猫のQTムービーを入れる。

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●電子出版の今後
Macintoshさえあればとりあえず誰でも気軽に作れる環境にあるし、
発表もフロッピーや通信を使えばほとんどコストがかからない。
購入する側も安くて、特化したものが手には入る可能性があるため、
気安く自分の求めていたものを購入できる。
これは、非常に大きな利点であると思います。

出版した各作品を例に取れば、「アメリカでとるバイク免許」についてなどは、アメリカ赴任を予定している人や留学生にとっては、まさしく求めていたものになり得るだろうし、少ロットでの出版が可能な電子出版ならではの作品と思います。
実際の原稿や校正のやり取りもインターネットベースだったので非常に短期間で完成しました。

*電子出版ソフト「アメリカでとるバイク免許」デモ
  :ハーレーのエンジン音
  会社の同僚でバイク仲間がアメリカに赴任した際に、
  執筆した作品。

また、コンサートホールの音響設計家の話は、
演奏家関係のクラシック音楽書は数多く出版されているものの、
かたやホールについての話はほとんど見かけない為、
コンサート好きのクラシックファンなら誰しも興味持ちうる本であると思います。
ただし今までの紙の媒体では部数的にこれらの本は出版できなかったのが実情でしょう。

*電子出版ソフト「響きのプロムナード」デモ:開始音
  クラシック音楽が好きなもので、
  音響設計の知人に書いていただいた。

本を書きたい人は世の中にいっぱいいます。
そこで、ちょっと変わっているがおいしい料理を思いついた人、
何気ない絵本を出したい人、こういう人が世の中に対して
表現していける環境が整ったのはすばらしいことであると思います。

*電子出版ソフト「猫でもできる料理の本」:オープニングムービー
  artificialの製作時の芝居仲間を中心に制作しました。
  本と言うよりハイパーカードのスタックに近い仕上がり。
  音響、CG、オルゴール、アニメ等各自の趣味を
  統合した作品になっている。


●重要なのは、「読みたいこと」、「書きたいこと」というコンテンツ。
今後も埋もれたニーズを発掘し、散在するシーズをかき集め、
大手出版や紙の本ではできない形態の電子出版を模索していきたいと考えています。
また、インターネットを利用したニッチでもワールドワイドな広がりを持つ作品を出版していこうと思っており、例えば、海外青年協力隊の友人など通して出版する企画なども考えております。
そして、電子本を出したい人が集まって楽しく創造的な寄合いを形成していきたいと思っています。
                                 以上

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