ベルリン~西ドイツ~
東西ドイツに分かれていた当時、
西ベルリンに列車で入るには
共産圏である東ドイツ国内を半日かかりで通過して入国した。
深夜列車で西ベルリン入りする途中、
何度か車掌や入国管理官に起こされ、
寒い車内でなかなか寝付けなかったことを覚えている。
貧乏かつ苦労してもベルリンに行きたかった理由は
ベルリンのフィルハーモニーホールで
ベルリンフィルを聴くこと!
ホールのデザインは今は斬新さはないが、音響はよい。
音が上から降ってくる感じながら、
耳が慣れてくると音が耳に直接飛び込んでくる。
ベルリンフィルの見事なアンサンブルも冷たさが強調され
高音は少々厭味でカラヤンの演奏には合っているかもしれないが
自分の好みのホールではなかった。
演目は
ベートーヴェン 交響曲第9番
指揮 カルロ・マリア・ジュリーニ
ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
ユリア・ヴァラディ、マルガリータ・ツィンメルマン、
ライナー・ゴールドベルク、ジークフリード・ローレンツ
この時の録音と翌年の録音を用いたCDが発売されているが、
3楽章については、かなり忠実な録音に思う。
ぶっちゃけ、ベートーヴェンの演奏で
あのような艶めかしい心地よさ
つややかな音の波間のきらめきを
堪能できるとは予想もしていなかった。
ジュリーニは1楽章をそれほどテンポも遅くなく振り
後半、徐々に遅めになってはいくが
リズミカルな音つくりで全く飽きさせないし、弛むこともない。
指揮の姿は棒にメリハリはあるが、身体は少し揺らす程度で
淡々としている。
特につややかな音は3楽章が白眉。
ベートーヴェンの音楽、特に第九はどうしても人間万歳的、
近代の幕開け的なイメージがつきまとってしまうのだが
この3楽章の演奏を聴き、
ジュリーニのいつくしむように音が搾り出される音つくりもあいまって
従来の押し付けがましく思っていたベートーヴェン像が
くずれさってしまった。
こんな第九は日本では二度と聴けないかと思うと悲しい。
ユリア・ヴァラディの声量は凄まじかった!合唱団とバトル状態。
そのジュリーニも2005年6月にお亡くなりなってしまいました。
「カンタービレ」と言う音楽の本質を表す言葉の意味を
教わった忘れえぬ一夜。
|
|
ベートーヴェン:交響曲第9番
アーティスト:ジュリーニ(カルロ・マリア),ヴァラディ(ユリア),ネス(ヤルト・ヴァン),ルイス(キース),エステス(サイモン),エルンスト・ゼンフ合唱団 |


コメント